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2006年5月 1日 (月)

『テレビは政治を動かすか』草野厚(060501)

 『歴代首相の経済政策 全データ』(2005.2.13)以来,久しぶりに草野厚先生のご著書を拝読。

■『テレビは政治を動かすか』(草野厚/NTT出版/本体1,600円)

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 2001年4月26日は小泉内閣発足の日。あれから5年(なんて言いつつも,その“あれ”はもうほぼ忘却の彼方)。田中真紀子さんと全国を回った図はもう歴史上の画像という感じ。「自民党をぶっ壊す」と言っていた小泉さんは本当に,政争の節目ごとにしぶとく勝って,野中広務・橋本龍太郎さんを引退に追い込み,先の総選挙では,綿貫民輔,堀内光雄,平沼赳夫,亀井静香各氏を追い出した上に圧勝してみせてくれました。いやはやご立派。田中真紀子さんに応援してもらっていたときとは大違いで,今や“大宰相”でございます。経済の歴史ならこんなものかと思わぬでもありませんが,政治の歴史もぼ〜っとしてるうちに,目の前で何とな〜く築かれていくものなんですね〜。普天間基地移転の話だって,1960年には安保闘争だったんじゃないっけ? という感じ。

 さてさて。この本の帯には<小泉劇場の裏を読む>とあります。どうも私はコレが気に入りませんが。裏というより草野先生はマトモに読んでます。弱小森派の小泉首相は,まさに有権者に支えられた宰相であり,その支持を獲得するのにテレビというメディアを,確かに上手に使ったし,テレビ向きのキャラクターでもある,と様々なデータや事例を挙げながら検証されています。これは今後の政治家さんにとっては,必須の学習事項でありますねえ。

 この本でいろいろな検証をされている中で,一般のわれわれに(読み物としてでなく)参考になるのは,テレビを中心としたメディアの特性(絵にならないニュースはテレビで取り上げられにくいなど)・功罪について述べたうえで,今後ますます強大化するであろうインターネットも念頭に置いて,メディアリテラシー(視聴者側の能力)を高めようとおっしゃっているところ。ごもっともであります。近頃は大新聞の記事のレベルも落ちている気がしますし,テレビのワイドショーなんて見る気がしない,ネット上はもちろん玉石混淆ですものね〜。全部真に受けてたらトンデモナイことになります。ちなみに情報化が進んで,何を信じていいかわからなくなるってのも面白いですね〜。デュルケームのいう「アノミー」の匂いがいたします。

 この本では,たとえば,昨年9月の総選挙につき,あまり他の方が指摘していないと思われる,小選挙区の弱点(地元の現職候補優先)を転じて,いわゆる刺客候補を立てて,議員の世代交代を進め,さらにはこれまでの地元密着型政治家の選出といった自民党の伝統にも風穴を空けたなど,政治学者らしい分析・知見もいろいろなところで掲載されており,これもまた興味深く読めます。私は巻末の「『真紀子神話』はどうつくられたのか」という資料も非常に面白く読ませていただきました。オススメです。



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