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2006年6月 3日 (土)

『経済学で読み解く日本の政治』井堀利宏(060603)

 井堀利宏先生は,マクロ経済学,公共経済学,財政学がご専門の東京大学教授。1952年生まれ。いま,最も“旬”な学者さんのお一人だと思います。この本は1999年5月に第1刷,私の手元にあるのは,1999年8月の第2刷です。

■『経済学で読み解く日本の政治』(井堀利宏/東洋経済/本体:1,600円)

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 『経済学の正しい使用法』(2006.5.23)と同じように読めそうということで,読んでみました。これ,井堀先生は一般の人向けに易しく書かれたおつもりでしょうが,結構難しかったです。おそらく正確な表現をしようとするあまり経済学用語がたくさん出てくるのが,私のようなものには「取っつきにくい」原因と思われます。とはいえ理解できるところについては,面白かったです。オススメです。こんな話が出てきます(35〜37ページ/ちょっと図の記号は変えてあります)。

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 ある政策たとえば政府支出について,A〜Eの5人がそれぞれa〜eの提案(a<b<c<d<e)を持っているとして,a〜eのうち1つの政策を採用しなくてはならないとき,多数決ではどの政策が採用されるかという話。Aのaという提案に賛成するのはAだけ。Bのbという提案に賛成するのはAとB(Aにとっては,c以上の政策よりはbのほうが,より自分の提案に近いのでbに賛成する)。逆にeからdと見てきても同様で,結局cが採用されるというもの。面白いですねえ。

 さらに面白いのは,たとえば,A〜Cだけで考えて,aの政策を支持するグループが100人,bの政策を支持する人が1人,cの政策を支持するグループが100人いた場合,同様に考えると,Aにとってはcよりbがマシであり,Cにとってはaよりbのほうがマシなので,bが選択されるということ。これで満足するのはB1人です。

 このような事例だけでなく,選挙制度(年齢別選挙区のご提案には思わず拍手しそうになりました。超簡単に言って若者世代は投票の機会費用が高いため棄権が多く,中高年の機会費用は低いので投票に行く,投票の結果は中高年の意向をより多く反映したものとなる。そりゃイカンだろうということです。先生は都市と地方の投票行動や投票価値についても言及され,比例区より小選挙区が望ましいと強調もされています),政党,圧力団体,財政再建,問題先送り,不公平と非効率,地方分権,改革の方途などが取り上げられ,経済学というツールでいろいろな考え方が披露されています。経済学って本当に面白い。「こういう社会的装置を制度に組み込んでしまえばロビー活動のコストは小さくなる」などのご提案には,唸ってしまいます。


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